60歳で辞める!

50代半ばのサラリーマンが60歳で退職するまでの日々を綴ります。

親の財産

けさ、ニュースサイトを眺めていると、「高齢の親の財産 50代後半の6割近くが把握せず」という記事が目に入りました。僕も世の中の大多数、“把握せず”派のひとりです。

 

これはズボラなのではなくて、把握する必要がないと考えているからです。把握しないといけないのは、親の遺産にめっちゃ期待しているか、とんでもない金額の相続税を心配するか、どちらかの人だと思います。

 

でも一番大きな理由は、「親にそんなこと聞けない」ということなんでしょう。財産の話なんかしたら、「俺が死ぬのを待っているのか?」と言われそうです。言われなくても、そう思われるのは心外です。

 

理想的なのは、親の方から積極的に情報開示してくれること。ついでに相続についてもハッキリさせておいてくれると、残った人間が揉めなくて助かります。こういうことを言い出せるのは親が元気で、「相続なんてことはずいぶん先の話だよね」と笑って話せるうちでしょう。そういう意味では、うちはすでにタイミングを逃しちゃってるかもしれません。

必要とされる人

メンバーになっているゴルフ場で仲良くさせていただいてるのは、ほとんどが人生の大先輩。60代70代が中心です。定年で「毎日が日曜日」の人もいれば、再雇用制度が終わってからも会社に残る人もいますが、60歳でスパッと辞めたという人は周りにはいません。

 

皆さん、こう言うんです。「ええ加減、ゆっくりしたいけど、もうちょっとだけ残ってって言われるねん」特に手に職を持つ技術系の人は、会社から契約を延長して欲しいと言われることが多いそうです。

 

「必要とされる」ことは素晴らしいことです。僕もそう思ってもらえるなら、早期退職なんて考えませんから。僕の場合は、辞めると言えば「いつでもどうぞ」と返される自信があるので、定年後の再雇用やさらにその延長なんてことはあり得ません。

 

でも、皆さん本当に会社に必要とされてるんですかねえ?うちの会社にも定年後に残ってる先輩方がいらっしゃいますが、全員が戦力になってるとは言えず、むしろ老害になってる人なんかもいますし。「もう少し残って」なんて社交辞令はなしにしましょうね。

危険な心理状態

まだまだ人生を楽しみたいし、養わないといけない家族もあるので自殺願望はないのですが、仕事で行き詰ったときなどに「逃げたい」と思うことはあります。

 

まさか本当にどこか遠くに行くわけにもいかないのですが、こんな妄想をすることはあります。「いま乗ってる電車が事故にあわないか」。

 

通勤で乗ってる電車なら労災扱いですから、収入面の心配はありません。痛い思いはしたくないのですが、死なない程度に3か月ほどの入院ができれば、ちょうどいい休息になるんじゃないかと。

 

大丈夫です。自覚してます。ちょっと危ない心理状態だと。きょうは金曜日、一日乗り切ればすべてを忘れられる週末です。

宝くじ高額当選

億単位の宝くじ当選金を受け取った人の体験談をテレビやネットの記事で見聞きすることがありますが、皆さん金遣いの荒いこと荒いこと。高級レストランに始まり海外旅行、外車を買ったあとはクルーザー購入と、まさに湯水の如くお使いのようです。

 

僕も少額ながら毎週、toto bigを買っています。当たるとは思っていませんが、6億当たったら会社を辞めて・・・と妄想するのが楽しみになっています。

 

ただ万が一いや億が一、高額当選することがあっても、そんな派手なお金の使い方をすることはありません。せいぜい今乗ってるクルマをグレードアップするくらいでしょうか。なぜなら、老後のために買ってるのですから。できれば、元金は減らさずに利息分で退職後の生活費の足りない部分を補いたいのです。

 

夢の話なのに、夢のない話になってしまいました。こんなつまらない男には宝くじの女神は微笑まないのでしょうか。でも、世に出ている高額当選者のその後の話はごくごく一部の人の情報だと思います。きっと、ほとんどの当選者は案外と地味な生活を続けているのでは?と想像しています。

辞めたら損!

きのうのランチは、退職金や再雇用について詳しい人事周りの会社の先輩と一緒でした。いつものように早期退職の話をすると、「辞めたら損やで」と即答が返ってきました。

 

仕事柄、多くの退職者を見てきて、もちろん早期退職を選んだ人もいたそうですが、60歳の定年、あるいは65歳まで再雇用を選ばない50代で会社を去る人は、"やりたいこと"が必ずあるのだそうです。これは多くの人に指摘されるのですが、"ぼーっとする"ために辞める人はいないそうです。

 

「やりたいこともないのに会社を辞めて、ぼーっとするのは1週間で飽きる」かどうかはさておき、先輩の「辞めたら損」という言葉には説得力があります。勤めていればもらえる給料だけでなく、健康保険に厚生年金と会社が負担してくれている金額は馬鹿にならず、それを自ら5年分も放棄するなんてありえないとのことでした。

 

まあ、そうなんでしょうねえ。面白い仕事なんてぜいぜい40代までで、出世しようがしまいがあとは惰性で会社に残ってる人がほとんどなんですよね。でも、年功序列でそこそこの給料が出るから辞められない。少し早期退職への道が細くなってきた気がします。

74歳からの叱咤激励

僕が人事異動で腐っているというのを聞いて、大学院の時の指導教授が食事に誘ってくれました。大学院といっても社会人向けの大学院だったので、がっつり研究とかそんな大袈裟なものではありませんでしたが、それでもそれなりに勉強はして修士論文も書きました。

 

教授とは仕事の上でも接点があり、僕が20代の頃からかれこれ四半世紀の付き合いがあるのですが、大学院を出てからも年に1度くらいは晩ご飯をご馳走になっています。

 

当時はバリバリの研究者だった先生も74歳。数年前に大学を定年退官し、今は非常勤講師として週に何度か授業をしているそうです。さすがに後期高齢者となる来年には「完全リタイア」するそうですが、この歳になるまで仕事を辞めたいと思ったことはなかったそうです。

 

「君はまだまだ若いから、これからも明るく前進して下さい」。帰り際にこんな激励をもらうと、実は55歳で早期退職を考えているなんてことは言えるわけがありません。74歳の恩師の言葉が心に沁みた夜でした。

あの電柱まで

そもそも早期退職を考え出したのは、人事異動で慣れない仕事をやらされるようになったためです。なので、月曜日は世の多くのサラリーマンが感じている憂鬱の濃いバージョンに覆われています。

 

そんな中でも救いになるのは「ちょっと先の予定」です。火曜日は誰々とランチ、土曜日はどこそこでゴルフと、仕事を忘れられるイベントが点在しています。まさにそれを楽しみにして、日々の仕事を乗り切ろうという心構えなのです。

 

学校に行けなくなった子どもに、きょうはあの電柱まで行こう、明日はその先の信号まで行こうと、少しずつ目的地までの距離を伸ばす先生。あるいは、折り返しまでは頑張ろう、30キロまでは何とか走ろうと、フルマラソンに臨むランナー。サラリーマンの日々も、そうやって自分を鼓舞することで前に進むのかもしれませんね。